子供部屋

硝子のシューズは痛いだけ

KING OF PRISM SUPER LIVE MUSIC READY SPARKING!

10月21日に幕張メッセで開催された、「KING OF PRISM SUPER LIVE MUSIC READY SPARKING!」夜の部に参加してきた。

 

簡単に説明をすると、今回のイベントは、アニメ映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm」とその続編「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」に出てくるスタァ候補生たち(要はJr.のようなもの)のキャストによるライブイベントである。

彼等はプリズムスタァ(フィギュアスケート、ダンス、ファッションを融合させたショーを披露する者を指す)を目指し、養成学校であるエーデルローズで日々鍛錬を積んだり寮生活を通して青春の日々を送る。

 

 

出演者とそのキャラクターは以下の8名(サプライズゲスト等は除く)だ。

 

・一条シン(CV.寺島惇太):中学3年生。純粋、ピュア、まっすぐ。「KING OF PRISM by PrettyRhythm」では主人公ポジション。実は人間ではない(?)等の様々な設定が隠されているようで、未だに謎の多い子である。

・太刀花ユキノジョウ(CV.斉藤壮馬):高校1年生。歌舞伎界のプリンセスだが、女形であることに抵抗がある。制服を着ていても隠せない気品、麗しさ。しかし、少し天然なところも。

・香賀美タイガ(CV.畠中祐):中学3年生。硬派で素行不良で女嫌い、ビジュアルは前髪重めの黒髪にタレ目というヲタクの大好きな設定が盛り盛り。

・十王院カケル(CV.八代拓):高校1年生。本名は十王院一男。総資産20兆円の十王院財閥の跡取り。女の子が大好きでチャラチャラしているように見せかけて根はヲタクで真面目。私の推し

・鷹梁ミナト(CV.五十嵐雅):高校1年生。名前である「ミナト(港)」のように皆の帰る場所、おおらかで大きい。人を立てる分、自己評価が低いきらいがある。皆の食事を作ってくれるからか、(作品内でなく現実の世界のファンから)ママと呼ばれることも。

・西園寺レオ(CV.永塚拓馬):中学2年生。女の子のようなビジュアルだが、男らしくなりたいと考えている。ユキ様(ユキノジョウ)に憧れており常に傍に居る(ドジっ子なユキ様のお世話をする為でもあると考えられる)。

・鈴野ユウ(CV.内田雄馬):中学1年生。自らをゼウスと名乗る厨二病真っ盛り。頭脳明晰で自らを天才と自負するような面を持つが、にんじんが食べられないというショタ属性も兼ね備えている。プリズムスタァの姉が居る。

・大和アレクサンダー(CV.武内駿輔):高校1年生。エーデルローズと対立関係にあるシュワルツローズに所属する。褐色の肌とシックスパックを持つ強面の男。彼のファンの通称は「アレクの女」。

 

 

 

 

 幸運にもアリーナAブロック、その中でも前から数えた方が早い席で、私は18時の開演を待っていた。

 

ライブのOPを飾ったのは、TRFの「BOY MEETS GIRL」

 

この作品は元となるTVアニメシリーズの頃からTRFの曲を用いており(作中のキャラクターにも明らかに某DJを意識した男性が登場している)、「KING OF PRISM by PrettyRhythm」内でも先輩スタァのライブの前座として候補生達皆で「皆でいつものBOY MEETS GIRL」を披露するといった発言がある。キンプリの世界では、ジャニヲタ的に言えばJr.の披露する「Can do! Can go!」のようなポジションだろうか。

 

しかし、肝心のライブシーンは本編での描写がなく、「こちらの世界の」候補生ファンが待ち望んでいた念願の一曲であった。

 

それぞれのカラーの衣装に身を包んだ7人が登場した瞬間は、まさに、21世紀で最高の出来事。

 

これが「皆でいつものBOY MEETS GIRL」なのだと。ダンスも合間に挟むファンサービスも、各々がこのキャラクターならこうする!と思わされる思わせてくれるものばかりで、幕張メッセという「こちらの世界」は、一気に「キンプリの世界」となり、私達客席はキンプリの世界のモブヲタに様変わりした。

 

そして、目まぐるしく披露されるソロ曲、ユニット曲のメドレー。ユニット曲は、キャラクターによっては今回出演していない先輩スタァのメンバーと歌っている人も居たが、それぞれがソロ歌唱で充分にその世界観を表現していた。

 

 

 

ここで今回も、私個人の各キャスト達への感想をそれぞれに書いておきたい。DREAM☆SHOWのときもそうだが、これらはジャニヲタがジャニヲタ目線で好き勝手に書いているだけであるゆえ、もし記事を見てくださる推しの方たちがいたとしたら「○○君(さん)はこんなのじゃない」という感想を抱かれるかもしれないが、大目に見てやって欲しいというのが勝手なお願いだ。

 

・惇太さん

昨年のトーク&ハイタッチ会以来。この方はまさにシンちゃん。あんなにも笑顔がピュアなアラサーがいていいのか。パフォーマンスも良い意味で個性が突出しないタイプ、センターとしてバランスのとれた存在。シンちゃん自体がまっさらでありながらも謎の多い子な為、素の自分を出すと成立しないという非常に難しい役目を見事にこなしていた。

強火レオ君推しなのは今も健在で、レオ君役のながにゃんが喋る度に動く度に満面の笑みを浮かべながら頷いていたのが印象的(笑)

 

斉藤壮馬(何となくフルネーム)

ミーハー丸出しは承知だが、つねづね、「一度どこかでさいとーそーま見てえなぁ」と思っていたので今回見ることが出来て嬉しかった。

感想はというと、男の人に「艶めかしい」という感情を抱くとは思いもよらなかったというのがひとつ。ソロ曲で着物衣装を纏い花道を歩く姿、その所作のひとつひとつが美しかったのは元々の彼の持つものなのか歌舞伎役者であるユキ様ゆえのものなのか。空気を持っている人。

「アゲハ蝶、夢舞い恋しぐれ 」の「時が止まればいい」という歌詞と共に多少の距離こそあれど0ズレ位置に止まられた時は、「いや、止まらないでよ。私の心臓が止まるがな」という色々な意味で笑えない状況に陥った。

 

内田雄馬(こちらも何となくフルネーム)

この子も、「一度どこかでうちだゆーま見てえなぁ」と思っていた子なので嬉しかった。

良い意味で自己中心的・独善的・攻撃的なパフォーマンスをする印象。まさに、全知全能のゼウスにふさわしい。ソロ曲ではその力強さで会場を圧倒させ、ユニット曲は縋るような甘さで魅了し、表現の幅が広い。色々と狡い。

最後、斉藤壮馬と肩を組んで出てきて「この方を知らないのか、ユキノジョウさんだぞ!!」などと茶目っ気たっぷりに笑う顔の可愛さは小悪魔級だった。

 

・五十嵐さん

昨年のトーク&ハイタッチ会以来。相変わらず「五十嵐節」全開のトークで私達を楽しませてくれた。

本職が舞台俳優なのもあり、ステージを大きく使う動きが上手。ソロ曲では歌詞に合わせてお砂糖を数えるような振り付けを取り入れていた姿もソーキュート。

年下声優に囲まれる中、弄られポジションというか愛されキャラというか、そういった立ち位置を許していることにも彼の大きさがうかがえる。まさにミナトさんのように。

最後、感極まって涙する姿には私も周囲も思わずもらい泣きし、「頑張れー!」「ママ、泣かないで―!」とリアル応援(上映)状態に。

 

・永にゃん

今回が初。

本当にレオ君の声だった(当たり前)。どこから出してるのあの声。そして、ニーハイ。ピンクのボーダーとピンク一色の二―ハイをそれぞれ片方ずつ履いて許される26歳男性がこの世に存在したことも驚きだが、私自身もまさかこの年齢になってタメの男性声優の履くニーハイの脚に萌える日が来るとは思ってもみなかった。脚綺麗だね。

仕草もいちいち可愛くてまさにレオ君だった。あれには惇太さんじゃなくても満面の笑みになる。

MCタイムに入る際の客席からのお手ふりに、切り上げるタイミングを失ったのか少し戸惑いの表情を浮かべながらもギリギリまで一所懸命に手を振りかえし続ける姿も可愛らしかったし、レオ君らしいと思わせてくれた。

 

・武内君

今回が初。彼はライバルポジションのキャラクターとしての登場で、ソロ曲も無いしライブの出番も圧倒的に他の人と比べて少ない分、他の人よりも情報量の少ない状態でコメントをするのは難しい部分もあるのだけれども、ただこれだけは言わせて欲しい。

貴方、本当に20歳になったばかりですか????????

タイガ君役である祐君と「EZ DO DANCE」を歌い踊る姿、ほとばしる色気は何だ。あの瞬間、幕張メッセの客席全員が年齢性別問わず「アレクの女」と化した。

 

八代拓(この子も呼び方が定まらない為、フルネーム表記で) 

なんばの舞台挨拶以来。この子がカケルで本当に良かったと、彼の「十王院カケル」に対するキャラクター観を聞いたりその姿を見たりする度に思わされる。

今回、外ハネのヘアセットにシルバーフレームの眼鏡をかけた姿はまさに「十王院拓」であり、「八代カケル」であったと同時に「十王院カケル」がそこに居た。彼を通して、私は確かにこの目で十王院カケルを観たのだ。

それは外見に関してだけではない。自分の色のキンブレを振る子にピンポイントでファンサービスをするところも、投げチューが軽率なところも、私の中のカケル像そのものだった。カケルは「皆のカケル君」と言いつつ、ちゃんと一途に自分を見てくれる子をちゃんと特別にしてくれる子だと思うから……だから、私はカケルからファンサを貰えなかったのだろうな(笑)

 

 

だって、私は、途中から、手はオレンジを振りながらも、視線は別の子を追ってしまっていたから。

 

 

 

 

そう、香賀美タイガ役の畠中祐のことである。

 

このライブをもって、彼が私の中で「推し」になった。

 

イベントに行ったりプレをつっこんだりしておいて、今更かと言われそうだけれども、推しというポジションを設置することは私にとって簡単なことではなくて、名乗るからには「ちゃんと」したいと考えてしまったり、とはいっても、本職(?)がジャニヲタなのは変えることは出来ないし、変えるつもりもないし……と、ずっと一人で馬鹿みたいに(実際そうだが)考えていた。 

 

 

本当に馬鹿みたいだ。

 

そんなつまらないもの、彼のパフォーマンスを目の前にしたら一瞬にして崩れ落ちた。

 

それはEZ DO DANCEだったか、タイガ君のソロ曲レジェンド・ワールドでの出来事であったか。今となっては分からないが、彼が目の前で0ズレの位置からその視線の先で確かに私を貫いた。サバイバルナイフのような鋭さで、そのダンスと歌声というパフォーマンスを武器に、全身をズタズタに引き裂いてきた。

 

「君だけを見ている」という歌詞のように私だけを見ていただなんて言うつもりはない。そこまで自惚れはしない。けれども、彼の向けた視線の中に、その一部に、確かに私は存在していた。長年のジャニヲタ人生で培ったカンと本能が告げていた。

 

瞳が濡れるのを感じていた。涙こそ流れなかったが、すごく痛かった。

 

この痛みを、私は知っていた。

 

私が濱田君を見た最後のコンサートで、会場さえ違えども今日とほぼ同じブロック列番号の座席でEternalを歌い上げる濱田君が「輝く未来も涙も 全てくれないか」と、確かに私を視線の先で押さえつけてきたことを。そのときの痛みとよく似ていた。肉食獣に捕えられたかのように動けなくなって怖くなって、けれどもたまらなく幸せで。

 

城ホールで自担(だった人)に誓ったはずの未来が、幕張メッセで年下声優のものになるとは誰が想像できただろうか。

 

なんてつまらない冗談はさておき、その瞬間に、私は座席に崩れ落ちるしかなかったのだ。キンブレを持った両手で庇うようにして自分を抱きしめながら。

 

それ以降は彼がどこにいようと、目の前にカケルが来ようと、私は反対側にいるタイガ君、いや、祐君を見続けていた。

 

この瞬間、確かに彼は「推し」になったのだ。

 

 

 

 

長年ジャニヲタだった私にとって、そして現在進行形で「そう」な私が、声優の推しをつくるということ自体が新鮮であると同時に分からないことばかりである。

Twitterでリアルタイムの写真が無料で手に入ることも、イベントの多さと距離の近さも、例えば500円の缶バッジを購入しただけでゆっくりハイタッチ出来る上に3往復は余裕で喋ることが出来るなんて、アルバムを大量購入し抽選に当たった上で握手会に参加したは良いが担当と喋るどころか手に触れたかも分からない速度で後ろから肩を掴まれ投げ飛ばされるのが当たり前の世界でずっと生きてきた身としてはカルチャーショックのレベルである。正直、楽しいし嬉しい。

 

頑張れば頑張るほど、この場合の「頑張り」とはお金を出せば出すほどという意味で、返ってくるものはわかり易く大きいのだろうとは思う。

プレゼントをあげられること自体もそれに対してTwitterでお礼を言ってくれるのも嬉しくて、つい何かしらを入れてしまう。

 

けれども、頑張ることが目的にならないようにしたいと思う。楽しめる範囲で楽しく推したいと思う。

何よりも私はジャニヲタだし、お洋服もお化粧品も大好き、お芝居を観るのも好き、美術館や博物館へ行くことも好き、美味しいものを食べることも好き、その沢山の好きの内のひとつとして、推し事を加えたい。

 

この気持ちがいつまで続くものかは分からないけれども、折角の縁だから大切にしたい。長く続けば良いと願う。

 

余談ではあるが、ちょうどこのタイミングで、ライブの日の夜OAの、東海ラジオの番組冒頭で私のお便りを読んで貰えたという嬉しい偶然があったことは記念に書き残しておきたい。

残念ながら、リアルタイムの私は夜行バスの集合時間直前にやっとシャワー室が空いてマッハで事を済ませていたというそれどころではない状況であった為、後日視聴して知ったのだが。リアルタイム、ライブ直後のテンションで聴いてみたかった。

 

 

 

 

 

話をライブに戻そう。

 

実は今回、あまり予習をしないでライブの日を迎えていた。ユニット曲に関しては推しのユニット以外は聴かないまま当日を迎えていた。

 

大好きな大切な作品のはずなのに、ここ最近は素直な気持ちばかりで楽しめないことも増えていたからだ。

 

公式に候補生たちが蔑ろにされていると感じることが増えたり、先輩男子スタァと候補生たちの為に使ったお金が彼等に還元されず何故か元となるTVシリーズの女子キャラクター達に使われたり、作品に対する制作陣の発言にも疑問を覚えたり不快に思うこと(一番は、声の大きい腐った女子達の意見を続編に逆輸入したといった発言)も度々で、大好きな子たちが大切にされていないことに最近は憤りを感じていた。熱も冷めようとしていた。

 

 

けれども、キャスト陣は皆が皆、本当に素晴らしかった。

キャラクターを理解し、愛してくれていた。

キャラクター達の距離感を大切にしてくれていた。

 

特に、作品内でも二次創作でも多く見られる組み合わせのコンビ2組、レオ君ユキ様とカケルとタイガ君は絶妙に、上手にやってくれていた。

 

レオ君とユキ様のユニット曲「異体同心RESPECT!」は、レオ君がユキ様に憧れの気持ちを抱いているのは勿論のこと、女形に抵抗のあるユキ様はユキ様でレオ君の持つ天然の可憐さや女性らしさを尊敬しているという、互いへの想いがまっすぐに描かれた曲である。

 

この曲を、レオ君はユキ様のように表情をキリッと引き締め、逆にユキ様は可愛らしささえ感じられる柔らかい笑顔を浮べながらレオ君を見つめながら歌い上げていた。まさに、互いへのRESPECTを込めて。

 

そして最後、暗転と共にふたりがハグをする姿に、その瞬間は確かに、暗闇の中で普段のようにキリッとしたユキ様と可憐なレオ君が互いを抱き締めあっていたのが見えた。

 

それは、どこまでも純粋な想いで、どこまでもまっすぐな姿だった。

あれを腐媚だとかなんだとか言う奴がいたらバラバラにしてやる。

 

 

カケルとタイガ君も同様だ。彼等こそ声の大きい腐った女子達の恰好の餌食(私自身もその気が無いとは言えないから否定はしないが、それを公式が逆輸入したというのは大変な問題である)になったコンビだが、本来はそうでは無かった筈だ。

 

カケルはカケルで財閥の跡取りとして子供の頃から汚い大人の世界で揉まれて生きてきた分タイガ君の純粋さに惹かれているのだろうし(あとその純粋さからからかいがいがあると楽しんでいるところもあると考える)、タイガ君はタイガ君で何だかんだで言いつつカケルがシュワルツローズに寝返ったと勘違いした際は本気で怒り不機嫌なのを隠そうとしなかった仲間想いなところがある、ベストパートナー、シンメトリーなのだ。

 

最後の曲、候補生全員の曲「ドラマチックLOVE」はそんな彼等が印象的なパートをデュエットで歌う箇所がふたつある。

 

ひとつ目のパートでは、メインステージにたったふたりで残されたカケルとタイガ君が横に並んで、カケルがチョけてタイガ君の肩に頭を乗せたかと思えばタイガ君はタイガ君で「仕方ねーな……」という表情でそれに付き合うという理想の距離感で理想のやりとりを見せてくれた。

 

そのくせに、ふたつ目のパートに差し掛かる直前、先に笑顔で相手を見つめたのはタイガ君だった。

 

ライブの空気に呑まれたのか、楽しくなって開放的になっているのか、分からないけれども、タイガ君らしいなと思った。根拠は無いけれども。無垢な笑顔を浮かべるタイガ君がそこに居た。

 

根拠は無いけれども、「正解」だと、そう思った。ふたりの関係として、花丸100点満点、理想のカケルとタイガ君がそこに在った。

 

これも腐媚だとかなんだとか言う奴がいたらバラバラにしてやる。

 

 

キャストの皆、いくら自分で声をあてたキャラクターとはいえ、たった映画2本分、しかも各々に割り当てられた描写はほんの僅かであり、他は円盤特典やドラマCD程度という圧倒的に情報量が不足している中で、よくここまで納得させられるだけのキャラクター像を作り上げ私達に見せてくれた、魅せてくれた。本当に有難い気持ちでいっぱいだ。

 

そんな彼等を見ていると、やっぱりこの作品を諦めることは出来なくて、この先を見たいと願ってしまう。

 

複雑な想いを抱きながらも、最後にこれだけは言わせてほしい。

 

 

 

「ありがとうの代わりに、好きって言わせて」