子供部屋

硝子のシューズは痛いだけ

「音楽」なんて大嫌い

音楽なんて大嫌い。

 

中学2年生の頃、転任してきた音楽の先生は、ギターが好きな人だった。おかげで授業のほとんどの時間は慣れないアコースティックギターの練習に費やされ、おまけに実技テストまで行われた。

 

最初の授業で軽く説明された程度で、あとはほぼ毎回自主練習のみといった中で、目印も何もない弦のどことどこを抑えればどの音(コード)になるのかいつまでも覚えられないまま、その学期の成績にはアヒルが泳いでいた。

 

 

歌うことだって好きじゃない。そもそも、音程がとれているとか外れているとかそれすらもいまだによく分かっていない。カラオケなんてしばらく行っていないな、もしかするともう一生行くことなんてないのかもしれない。

男ウケなんて意識していないようなフリをした計算しつくされた服を身に着けて、AKBやモー娘。を友達とデュエットして、まるで自分たちも本人映像の可愛い皆の一員になったかのように振る舞って、同席した近隣大学の男の子たちにチヤホヤしてもらって勘違いしていた馬鹿な時代。これは1000000000%私が悪い、頭が悪い。そして、今回のことにあまり関係もない、ただの黒歴史の振り返り。

 

 

聴くことも、正直なところあまり得意ではない。特に、自分で書いて自分で歌う人を好きになるのはもうやめた。ファンを目の前にして、その場に居ない大切な人へ向けた楽曲をその人だけを思い浮かべながら歌うような人。

今でも、うっかり声を聴いてしまったら胸がぎゅっとなるくらいには、好きだったよ。短い間だったけれども。

多分、これが一番の理由。「音楽」を嫌う一番の理由。

 

 

 

 

 

だから、私は「アイドル」が好きなのかもしれない。

 

アイドルが歌う恋は嘘だから、アイドルが口にする愛は安全だから。

 

誕生日を一週間勘違いされたマイハニーも、勢い余ってフライングで連れ去られる女の子も、2時間の待ちぼうけの末にドタキャンする彼女(?)も、現実には存在しない。

 

各自が作詞するソロ曲だってそうだ。罪と罰に蝕まれる恋なんてしていたら即すっぱ抜かれているだろうし、まもりたい彼女は空に居るし、そもそも彼自身が肘の裏の場所を勘違いしていた時点で成立していない楽曲(実際にその部分を好きだと言った彼女が実在していたとすれば、そこまでいくと笑えてくるのでむしろOK)もあるし 、と、現実味のない設定の中であくまでもアイドルという商品である自らを際だたせる表現の道具として使用するのが暗黙のルールだ。

 

だから、アイドルの楽曲は安心して聴くことが出来る。

 

 

 

 

 

なのに、「貴方」はそうしてはくれなかったね。

 

そう出来なかったのかもしれないね。

 

貴方の書きだす、貴方の吐き出す、貴方が貫き続けた「音楽」は、いつになっても、アイドルのコンサートの中では浮いていたよ。貴方自身が強すぎて、その力強さに、私はいつも疲れていた。

 

そこには真実しか無かったから。事実が存在していたから。現実、だったから。

 

けれども、それにどうしようもなく惹かれていたのもまた事実。救われたこともまた事実。

 

 

 

そうやって長年散々私のことを振り回しておいて、最後に赤ちゃんだけ残して去っていくなんて、どこの茂雄だよ。

 

馬鹿野郎

 

 

 

 

 

 

 

 

大嫌いだ

 

関ジャニ∞から渋谷すばるを奪った音楽が、私は何よりも大嫌いだ